ストレスは時代のトレンドであり、多くの人が高いストレスレベルに対処している中で慢性的なストレスが体重にも影響があります。
ストレスを感じると、活動の源となるエネルギー、食欲、気分、食事、睡眠などに影響がありますし、ストレスの度合いやストレスへの対処法が、こうした様々な健康面に生化学的な影響を及ぼしています。
ストレスがたまると食生活はどう変わるのか
日々のストレスが生活、食生活、休養に影響を及ぼすことは、多くの人が認めるところです。
ストレスは、すべてを飲み込むものであり、卑劣で、しつこく、習慣的なものであり、さらには日常であったりします。
人間である以上、ストレスをまったく感じずに生活することは不可能ですが、ストレス太り(およびその他の代謝異常、健康問題など)しないよう、日々の生活に取り入れられるヒントやコツを知りましょう。
ストレスホルモンについて
ストレスとは、生物とその環境との間の均衡を乱す状況であると定義することができます。
生活の中でストレスになるような状況になると、身体は生化学的なレベルで様々な反応を起こします。
その多くは、食習慣、体重、睡眠に影響を及ぼします。
ホルモンの面では、いくつかの重要な作用因子を理解する必要があります。
コルチゾール
コルチゾールは、ストレスホルモンの代表格です。
コルチゾールは、短期的なストレスがかかったときに分泌され、ストレスを引き起こす刺激に対処するためのエネルギーを供給するように設計されています。
しかし、慢性的なストレスが続くと、コルチゾールレベルが慢性的に高くなり、身体に悪影響を及ぼします。
例えば、コルチゾールは健康な状態では抗炎症作用がありますが、慢性的に上昇すると炎症が起こります。
同様に、コルチゾールが慢性的に高い状態だと、体は余分な体重を抱え込む傾向にあります。
アドレナリン
もうひとつの重要なホルモンがアドレナリンです。
アドレナリンは、急性のストレスに対して放出されます。
アドレナリンは交感神経系(自律神経系の闘争・逃走側)の一部で、瞳孔と気管支の拡張、心拍数の増加、血管の収縮、消化速度の低下などの急性身体反応を刺激し、人は過集中して目の前のストレスに対処できるようになります。
コルチゾールとアドレナリンは、どちらも闘争・逃走反応を促して身体を守る働きがありますが、アドレナリンの方がコルチゾールよりも即効性があります。
また、アドレナリンはストレス時に食欲を抑制し、コルチゾールはストレスからの回復時に食欲を増進させることが研究で明らかになっています。
その結果、慢性的なストレス下にある人は、食事量が増える一方で、砂糖や脂肪などのエネルギー密度の高い食品を欲するようになる傾向があります。
オキシトシン
抗ストレスホルモンであるオキシトシンは、ストレスを感じるコルチゾールとは異なり、人とのつながりや絆、親密さを促進し、心を穏やかに保つ作用があります。
オキシトシンがコルチゾールより高ければ、うつ病や不安神経症のような慢性的なストレス状態を回避することができます。
このオキシトシンを増やすことができます。
笑い、自然、創造性、ダンス、音楽、抱擁、子犬、社交、友情、感情の共有、感謝などはすべて、オキシトシンを増やす簡単で使い勝手のよい手段です。
オキシトシンの量が増えれば、ストレスホルモンのバランスが整い、気分も良くなり、欲求も減り、人生をより楽しむことができるようになります。
ストレスと食事の関係
ストレスを感じると、甘いものに手が伸びてしまう人もいるでしょう。
また、ポテトチップスやフライドポテトのような塩味や歯ごたえのある味を好む人もいれば、吐き気がしてまったく食べられなくなる人もいます。
食欲にはさまざまな種類がありますが、何がストレスになっているか、また、その状況がどの程度極端かによって、食べること、食欲の関係が変わってくるのです。
ストレスと食事が体重に与える影響には、主に3つの方法があります。
感情的な食事
慢性的なストレスは、しばしば不安や抑うつ、そして怒りを伴います。
ストレスと闘うのに食べ物が有効というわけではありませんが、ストレスが続くと、短期的な安らぎを得るために、感情的な食事や過剰な間食に走ることがよくあります。
特に甘いものを欲しがる
ストレスがたまると、特定の食べ物が食べたくなったりします。
それは、コルチゾールが分泌されると、より長期的なストレスパターンにより、オレキシジェニック反応と呼ばれる現象が生じることがあります。
これは、コルチゾールに対する反応として、(生化学的なレベルから)より食物を欲するようになるものです。
多くの場合、オレキシジェニック反応は、食事の中で嗜好性の高い食品、特に甘いものを欲しがるという形で現れることがあります。
また、この反応は確実に体重増加やBMI(体格指数)の全体的な上昇につながる可能性があります。
食欲の減退
ストレス、特にアドレナリンが関与する短期闘争型ストレスは、ほとんどの場合、食欲を減退させます。
一時的な闘争・逃走状態にあるときは、目の前の緊急事態に効果的に対処できるよう、食事は体内で保留されます。
ストレスの多くは、自分が感じるほど深刻ではありませんが、衰弱し、緊急性を感じることがあるため、闘争・逃走状態になってしまうのです。
ストレスに対処する方法
ストレスに対処するための方法を紹介します。
呼吸をする
ゆっくりとした深呼吸はストレスのレベルを下げ、神経系の副交感神経を活性化させます。
おやつや食事の時間に呼吸をすることで、気持ちが落ち着き、体の声に耳を傾け、空腹感や満腹感をより明確に感じられるようになります。
また、食べることに集中することで、ストレスによる暴飲暴食を防ぐことができます。
自分の感覚に同調する
食事中に自分の感覚を追いかけることは、食事中の一瞬一瞬を大切にすることにつながります。
また、自分の感覚に同調することで、喜びを感じることができます。
喜びはオキシトシンを活性化し、食欲とのバランスをとるのに役立ちます。
ストレスと睡眠
ストレスの多い時期にぐっすり眠ろうとすると、頭が混乱し、落ち着かず、不安で、筋肉が緊張し、悪夢を見たり、心臓がドキドキしたりするのは、ほとんどの人が経験したことがある症状です。
ストレスはリラックスして安らかな眠りを妨げます。
そして、睡眠不足は空腹ホルモンであるレプチンとグレリンを変化させます。
レプチン
レプチンは食欲を抑制するホルモンですが、レプチンは睡眠不足で減少し、翌日には快適な食べ物を欲する可能性が高くなります。
グレリン
グレリンは、空腹を感じるホルモンですが、グレリンは睡眠不足で増加し、睡眠不足が続くと、より多くの食べ物を摂取しやすくなります。
睡眠不足は食欲を増進させ、ストレスが高く睡眠時間が短い人の体重増加する可能性があります。
就寝前のストレスを解消する方法
ストレスは解決不可能な問題のように感じられますが、特に睡眠に関しては、ストレスレベルを下げる方法を以下に紹介しますので、自分に合いそうな方法を試してみるといいかもしれません。
寝る前に瞑想する
瞑想は神経系をリラックスさせ、ストレスの症状を和らげてくれます。
温かいカモミールティーを飲む
カモミールなどのハーブには鎮静作用があり、安らかな眠りを誘う効果が期待できます。
温かいお風呂に入る
熱いお風呂で体温を温めることで、体がリラックスしやすくなり、よりリラックスした就寝につながります。
ハーブサプリメントや自然療法を利用する
メラトニン、タルトチェリー、L-トリプトファン、バレリアンなどのハーブサプリメントや自然療法を利用してみましょう。
自然療法は、より深く長い眠りを助けてくれます。
アロマテラピーを活用する
ラベンダーのエッセンシャルオイルをお部屋に漂わせなど、アロマテラピーは、よりリラックスして休息できるようなトーンを与えてくれます。
寝る前はスマホを触らない
寝る30分前にはスマホなどの画面を見ないようにしましょう。
画面を見ない時間を増やすと、より良い睡眠につながります。
ストレスの負の連鎖を断ち切る
ストレス性体重増加でお悩みの方におすすめしたいのは、ストレスの多い時間帯に、できるだけ多くの知識と意識、優しさ、そして忍耐をもって対処することです。
ここでは、体重増加を防ぐだけでなく、ストレスの悪循環を断ち切り、生活の質を高めるために、効果的なストレス対処法をいくつかご紹介します。
健康的なストレスのはけ口を見つける
定期的な運動、自然とのふれあい、コミュニティ、スピリチュアリティなどが、つらい時期を乗り越えるための助けになります。
食事に集中する
ストレスを感じたら、食べるものに注意を払い、ゆっくり、心をこめて食べましょう。
楽しいことを増やす
定期的に体を動かすことで、喜びやオキシトシンを増やし、気分を高揚させましょう。
誰かのサポートを受ける
友人、家族、専門家に相談するようにしましょう。
日記を書く
日記を書くことで、自分の気持ちを整理してみましょう。
ストレスと正面から向き合い、肩の荷を下ろすことができます。
おわりに
体重の増加は、ストレスがかかると必ず起こるというものではありません。
アドレナリン、コルチゾール、オキシトシンの関係から、体質が太る方向に傾いていない可能性さえあるのです。
とはいえ、ストレスの多い状況でも、上記のような知識とストレス対処法を身に付けて、できる限り対処すれば、体重増加につながるストレスに対する最も一般的な自動反応に対処できるようになるかもしれません。
しかし、ストレスに対する反応は、時間をかけて研ぎ澄まし、より健康的な身体と生活を手に入れることができるのです。
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