年齢によって、給料や保険料、テレビの好みや休日の過ごし方など、人生に関するさまざまなことが変わってきます。しかし、個人の健康状態やフィットネス、怪我や病気に対する脆弱性、認知機能については、意外と知られていないものです。
多くの健康専門家によると、本当に重要なのは生物学的年齢、つまり暦年齢に対して体がどのように機能しているかということなのです。
健康年齢、あるいは心臓年齢や体力年齢とも呼ばれるこの重要な統計は、10代のような健康状態なのか、それとも65歳の寝たきりの年金生活者なのかを明らかにすることができます。
健康年齢が高くなると、体脂肪や筋肉の衰えが顕著になり、心臓病や身体機能の低下など、老化に関連した問題のリスクを早める引き金となります。
生物学的年齢を改善する3つのヒント
- トレーニングして生物学的年齢を下げる
- 食生活を改善する
- ライフスタイルを見直す
老化の正確なメカニズムは解明されていない
老化については、まだ正確なメカニズムは解明されていないのですが、主にプログラム説とダメージ説が提唱されています。
プログラム説
遺伝的、ホルモン的、免疫的な衰えという生物学的な流れに沿って人間が行動すること
ダメージ説
環境要因や生活習慣によってDNA損傷、炎症、酸化ストレスが起こり、細胞が損なわれること
しかし、健康診断や生理学的分析を通じて、科学的に証明された年齢関連の内容を調べることで、身体の健康年齢を正しく知ることができるのです。
生物学的年齢とは、自分に関するデータを、同年代の仲間や他の年齢層と比較して、自分の体の状態を明らかにする予測値と比較することです
最も身近な検査は、運動習慣、健康状態、食生活を、大規模な人口調査から得られた年齢別の基準値と比較し、一般的な健康状態や病気のリスクについて、それらの調査から明らかにされたことを確認する基本的なアンケートです。
生物学的年齢を知ることで生活改善につなげる
今のところ、健康診断と体力診断の組み合わせが、自分の生物学的年齢を把握し、若い体を作るきっかけとなる最良の方法です。生物学的年齢は元に戻すことができるのです。
定期的に運動する、よく食べる、アルコールを控える、喫煙しないなどの重要なライフスタイルを変えることによって、このリスクを下げ、健康状態を改善することができます。
1.トレーニングして生物学的年齢を下げる
トレーニングにして身体を動かすことは生物学的年齢を下げることにつながります。
ウェイトトレーニングと有酸素運動の比率を上げる
有酸素運動1回に対して、ウェイトトレーニングを2~3回行うようにしましょう。
筋力トレーニングは、筋肉の衰えを防ぎ、フリーラジカルや酸化ストレスを除去する生体反応を誘発し、血流を増加させます。
また、成長ホルモンを増加させ、年齢を重ねても骨を作るカルシウムと脂肪を燃やす筋肉を維持できるようにします。
筋トレをする人は、心臓病や糖尿病など加齢に伴う問題に関連する内臓脂肪が、有酸素運動だけの人よりも少ないことが確認されています。
ホルモンを活性化させるリフトアップをする
筋肉は年をとるから落ちるのではなく、使わなくなるから落ちるのです。スクワット、デッドリフト、ベンチプレス、懸垂などの複合的な動きが、時間を逆行させて若返らせるのに最も適しています。
40歳を過ぎると、10年ごとに8%の筋肉が失われ、代謝が落ち、体が弱くなると言われていますので、早めに良い習慣を定着させましょう。
複合種目はテストステロンの分泌を増やします。テストステロンが減少すると心臓病のリスク上昇に関連します。
高強度インターバルトレーニングで有酸素運動の効果を得る
高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、体のエネルギーを生産するミトコンドリアの再生を最大69%促進することにより、細胞の老化を遅らせると言われています。
また、肺、心臓、循環器系の健康も増進し、体を若々しく保つことができます。
カーディオエクササイズ、ダッシュ走(短距離走)、クロスフィットなどの有酸素運動は、体重を減らし、心臓と肺を強化します。
持久力トレーニングをする
サイクリングやランニングなどの持久力トレーニングは、若々しさを保つのに役立ちます。
長距離サイクリングをする人は高齢になってもコレステロール値が維持され、T細胞(免疫システムが病気と闘う)を多く保持していることが明らかにっています。
また、体重を支える運動は骨の健康を増進し、骨粗しょう症を予防します。
ストレッチでしなやかさを保つ
生物学的年齢を下げるには、しなやかさを保つ必要があります。
ヨガ、ダイナミックフロー、アニマルフローなどのエクササイズで、腰や関節を開くようにしましょう。
座りっぱなしの仕事であれば、1時間に1度はストレッチをするようにしましょう。
適度にトレーニングを継続する
激しい運動をするのは構いませんが、頑張りすぎて苦痛が続かないようにしましょう。
毎日自分を打ちのめして苦痛を感じると、コルチゾールとストレス反応が生じるので、中枢神経系が打撃を受けてしまいます。
週5日、40分の運動をすれば、生物学的年齢を9歳下げることができます。
2.食生活を改善する
身体に摂りこむ栄養について、食生活を効果的なものに改善することで、生物学的年齢を下げるようにしましょう。
オメガ3系を多く摂る、地中海式食事法に変える、スパイスを効かせる、腸内フローラを維持する、抗酸化物質を摂取するなことについて以下に紹介します。
オメガ3系を多く摂る
天然の抗炎症作用を持つ食品を食べるようにしましょう。
オメガ3脂肪酸のような良質な脂肪は、体内で抗炎症作用のある化学物質に分解され、細胞を良い状態に保つのに役立ちます。脂の乗った魚、オリーブオイル、生のナッツ、種子、アボカドから摂取できます。
オメガ3が豊富な魚を多く含む日本の伝統的な食事を摂ることで死亡率を15%下げることができると言われています。
地中海式食事法に変える
地中海式食事法とは、イタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国々の人が食べている伝統的な料理のことで、以下のような共通の特性があります。
- 乳製品や肉よりも魚を多く使う
- 果物や野菜を豊富に使う
- オリーブオイル、ナッツ、豆類、全粒粉など未精製の穀物をよく使う
- 食事と一緒に適量の赤ワインを飲む
魚、野菜、全粒粉、未精製の炭水化物の摂り方を地中海式食事法に変えると、人生の後半であっても全死因死亡率が25%減少させることができると言われています。
認知症や記憶喪失を防ぐために脳の容積を保持できることが示されています。
スパイスを効かせる
ショウガとターメリックは、体内の炎症を抑えるのに役立ちます。
ショウガには細胞に対する抗炎症作用があり、毎日摂取することでコレステロール値が改善されると言われています。
また、ウコンに含まれるクルクミンにも抗炎症作用があります。
腸内フローラを維持する
腸は体の免疫システムにおいて重要な部分なので、免疫力を高める食品で病気や感染症から身を守りましょう。
腸内フローラは健康の基礎なので、ニンニク、タマネギ、アーティチョーク、オート麦、ザワークラウトなどの発酵食品など、腸内フローラを維持するものを摂るようにしましょう。
抗酸化物質を摂取する
抗酸化物質は酸化によるダメージの影響を抑制してくれます。
抗酸化物質を多く含む食品には、濃い緑の葉野菜やカラフルなフルーツがあり、特にベリーは長寿を促進します。
食事では、非でんぷん質の野菜を一皿の半分は摂りたいところです。
3.ライフスタイルを見直す
普段の生活習慣を見直すことで生物学的年齢を下げることにつながります。
睡眠時間は8時間を確保する、積極的に新しいことを学ぶ、ストレスを打ち砕くようにしましょう。
睡眠時間は8時間を確保する
睡眠不足は心血管疾患、高血圧、2型糖尿病を引き起こす可能性を高めてしまいます。
また、アメリカの研究では、睡眠時間が5時間未満の人は生物学的年齢が実年齢より5.1歳も高くなってしまうことが示唆されています。
新しいことを学ぶ
脳の健康を保つには、新しいことを学ぶのが一番だという研究結果が出ていて、語学や音楽などの趣味は脳によい効果があります。
ストレスを打ち砕く
アメリカの研究によると、ストレスはテロメア(身体をつくる細胞の染色体の端にあり命の回数券ともいわれる)の短縮と酸化ストレスの上昇につながり、どちらも長寿の低下に関連する指標であることが明らかになっています。
「いつも」「絶対」といった言葉をよく使うかどうか、極端で絶対的な考え方は、ストレスの表れです。毎日日記を書くことで、思考を明確にし、区切りをつけることができます。そのプロセス自体が、解決策を見出すことを促してくれるのです。
おわりに
生物学的年齢が高いことの明らかな兆候は、過剰な体脂肪や筋肉の衰えであり、これらは心臓病や身体機能の低下といった加齢に関連した問題のリスクを早める引き金となるのです。
しかし、肺活量や心臓の健康状態の低下、骨密度の低下、認知機能の低下など、加齢に伴う、その他の予兆は目に見えにくいものです。
これらの予兆があると、たとえ暦年齢が比較的若くても、糖尿病やアルツハイマー病、骨粗鬆症などあらゆる病気にかかりやすくなるのです。
アメリカの研究によると、同じ暦年齢の若者でも、中年期のかなり前から生物学的年齢に差があり、健康年齢が高い人は、すでに身体能力や認知能力の低下をきたしていることが明らかになりました。
自分の生物学的年齢を知ることは、自分がうまく年を取っているかどうかを確認したり、時間を巻き戻すきっかけになったりして、このリスクを減らすのに役立ちます。
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