GROW(Goal,Current Reality,Options,Will)モデルは、コーチングで使用される最も一般的なコーチングのフレームワークです。
- Goal(目標)
- Current Reality(現在の状況)
- Options(選択肢)
- Will(意志)
マネージャーはGROWモデルを用いて、従業員のパフォーマンス向上、問題解決、より良い意思決定、新しいスキルの習得、キャリアゴールの達成を支援します。
4つのステップからなるGROWモデルの枠組みの中で分類された、マネージャーが活用できるコーチング用の質問について紹介します。
1.Goal(目標)
コーチングは目標を設定することから始まります。業績目標、能力開発目標、解決すべき問題、決定事項、あるいはコーチングセッションの目標などです。
目標設定を明確にし、チーム全体で一貫性を持たせるために、対象者にはSMARTの法則を使って目標設定するようにします。
- Specific:具体的、分かりやすい
- Measurable:計測可能、数字になっている
- Achievable:同意して、達成可能な
- Relevant:関連性
- Time-bound:期限が明確、今日やる
これら5つの要素は、目標を達成し成功をつかむための5因子とされています。SMARTの法則は目標達成の精度を高めてくれますので、ぜひ活用しましょう。
次の10の質問は、人々が自分の目標を明確にするのに効果的です。
- このコーチングセッションで何を達成したいですか?
- あなたはどのような目標を達成したいですか?
- あなたは○○で何を実現したいですか?
- あなたは本当に何をしたいのですか?
- あなたは何を達成したいのですか?
- あなたはどんな結果を出そうとしているのですか?
- どんな結果が理想的ですか?
- あなたは何を変えたいのですか?
- なぜこの目標を達成したいと思うのですか?
- この目標を達成したら、どんなメリットがあるのでしょうか?
2.Current Reality(現在の状況)
GROWモデルのこのステップでは、マネージャーと従業員が、現在の状況(何が起きているのか、その背景、状況)を認識することになります。
重要なのは、質問攻めにするのではなく、ゆっくりとしたペースで質問をすることです。対象者に質問の内容について考えさせ、対象者自身の答えを振り返らせるように仕向けます。
よく考えもせずに解決策に飛びついたりするような、マネージャー自身の意見を述べるのではなく、あくまでしっかり聞くというアクティブリスニングのスキルを使いましょう。
次の20の質問は現在の現実を明らかにするためのものです。
- 今、何が起こっているか(何が、誰が、いつ、どれくらいの頻度で)?その結果、どのような効果や結果がもたらされていますか?
- あなたはすでに、目標に向かって何か一歩を踏み出しましたか?
- あなたがしたことをどう表現しますか?
- あなたの目標に対して、今どのような状況にありますか?
- 目標の進み具合は10点満点中、何点ですか?
- これまでのあなたの成功の要因は何ですか?
- これまでどのような進展がありましたか?
- 今、うまくいっていることは何ですか?
- あなたに求められていることは何ですか?
- なぜまだその目標に到達していないのですか?
- 何があなたを止めていると思いますか?
- 本当はどうだったと思いますか?
- 関係者はその目標を達成したことを知っていますか?
- あなたは何を学びましたか?
- あなたはすでに何を試しましたか?
- どのようにして今回はこれを好転させることができましたか?
- 今回、あなたは何をより良くすることができましたか?
- もしあなたが○○に尋ねたら、彼らはあなたのことを何と言うでしょうか?
- 10点満点中でその状況はどの程度深刻なのでしょうか?
- もし誰かがあなたにそのようなことをした場合、あなたはどう思いますか?
3.Options(選択肢)
状況を明確に理解したら、コーチングの会話は相手が目標に到達するために何ができるかに移ります。
次の20の質問は、相手が選択肢を探して解決策を見出しやすいような質問です。
- あなたの選択肢は何ですか?
- 次に何をする必要があると思いますか?
- 最初の一歩は何だと思いますか?
- より良い結果を得るために(あるいは目標に近づくために)何をする必要があると思いますか?
- 他に何ができると思いますか?
- 他に誰が助けてくれそうですか?
- 何もしなかったら、どうなるのと思いますか?
- すでにうまくいっていることは何ですか?どうすれば、それをもっとできるようになりますか?
- それを実行したら、どうなると思いますか?
- あなたにとって、最も難しいことは何ですか?
- そのことについて、あなたは友人にどんなアドバイスをしますか?
- それをすることによって、あなたは何を得たり失ったりしますか?
- もし誰かがあなたにそのようなことをしたら、何が起きると思いますか?
- そのオプションの良い点・悪い点は何ですか?
- どの選択肢に対して、あなたは行動する準備ができたと感じますか?
- 過去にこれと似たような状況にどのように対処しましたか?
- 何が違っていたのでしょうか?
- 同じような状況になった人を知っていますか?
- もし何か可能性があるとしたら、あなたは何をしますか?
- 他に何か気になることがありますか?
4.Will(意志)
GROWモデルの最後のステップになりますが、コーチはコミットメントを確認し、相手が次のステップのための明確な行動計画を立てるようにします。
次の20の質問は、コミットメントを探り、達成するためのものです。
- それをどのように行うつもりですか?
- 今すぐやるべきことは何だと思いますか?
- どのようにそれをするつもりなのか教えてください。
- それができたら、どうやって知ることができますか?
- 他に何かできることはありますか?
- あなたの計画が成功する可能性は、10点満点中何点ですか?
- 最後までやりきるためには何が必要ですか?
- 成功の妨げになっているのはどんな障害ですか?
- どのような障害が予想されますか、または計画が必要ですか?
- どのようなリソースがあなたを助けてくれますか?
- 何か欠けているものはありますか?
- 今あなたが少しでもやれることは何ですか?
- あなたはいつから始めるつもりですか?
- 成功したことをどうやって知ることができますか?
- そのために必要なサポートは何ですか?
- これをしないとどうなりますか?
- これを達成するために、あなたは私や他の人から何を必要としますか?
- 今週、あなたが取ることのできる行動で、意味のあるものは3つありますか?
- それを実行するために、あなたはどの程度献身的・意欲的ですか?
- 今週やりきるためには何が必要ですか?
おわりに
コーチングの会話は、きれいに整然と4つのステップを踏んでいくことはほとんどありません。しかし、GROWのフレームワークでこれまで紹介した質問を参考にすることで、マネージャーが会話を始めやすいものとなります。コーチングを進めるうちに、枠組みの中で行ったり来たりしながら、自然な会話の流れになっていくのです。
上手に質問しながらコーチングを成功させましょう。
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