マイクロバイオームと腸内環境を整えて睡眠を改善する方法

マイクロバイオームと腸内環境を整えて睡眠を改善する方法 睡眠
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腸の健康が全身の健康と幸福に重要なものとなっています。腸にはマイクロバイオームという微生物が最も多く生息しています。この微生物の世界は、消化に重要な役割を果たすだけでなく、それ以外にもさまざまな役割を果たしています。睡眠とマイクロバイオームの関係について紹介します。

マイクロバイオームとは

マイクロバイオームとは
マイクロバイオームとは

人間のマイクロバイオームは、何兆もの小さな微生物で構成されています。多くは細菌ですが、ウイルスや真菌、原生動物もいます。これらの微生物は全身に生息していますが、最も注目されているのは腸内の大規模な微生物生態系で、心身の健康や機能の維持に重要な役割を果たしています。

マイクロバイオームの早わかり

まずはマイクロバイオームについての早わかりをご紹介します。

神経系が脳と同じような働きをする

腸は第二の脳と言われますね。腸に生息しているマイクロバイオームには神経系があり、約1億個の神経細胞が存在します。マイクロバイオームの神経系は、脳や中枢神経系と常にコミュニケーションをとり、ホルモン産生、免疫系機能、食欲、消化・代謝、気分、ストレス反応などを調節するのに役立っているのです。

腸内細菌は神経伝達物質を産生

腸内細菌は睡眠に影響を与える神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン、GABAなど)を多く産生・放出しており、これらは脳でも産生されています。メラトニンは腸でも脳と同様に生成されます。

一人ひとり異なる

マイクロバイオームは一人ひとり異なり、遺伝的な要因だけでなく、環境や食生活の中で微生物にさらされて発達します。

自然なバランスが存在する

マイクロバイオームは、常に変化する微生物からなる、非常にダイナミックな体内生態系です。その多くは体の健康に有益なものですが、少数のものは病気を促進する可能性があります。健康な体のマイクロバイオームには、自然なバランスが存在します。そのバランスが崩れたとき、身体はより大きな病気のリスクにさらされるかもしれません。

健康において広範囲に影響する

マイクロバイオーム内の生物の構成と多様性(さまざまな細菌やその他の微生物の種類と量)は、心身の健康、気分、代謝、循環器系の健康、免疫系、慢性疾患のリスクなどに実に広範囲にわたって影響を及ぼすようです。

サーカディアンリズムによって制御されている

睡眠や体に関することと同様にマイクロバイオームもサーカディアンリズムによって制御されているようです。サーカディアンリズムが乱れると、マイクロバイオームの健康や機能が損なわれます。マイクロバイオームの健康は、食生活の乱れ、ストレス、病気、抗生物質を含む医薬品の過剰使用によっても損なわれる可能性があります。

睡眠とマイクロバイオームの関係は、双方向であると考えられています。マイクロバイオームは睡眠に影響しているようです。一方、睡眠とサーカディアンリズムは、私たちの腸内に生息する重要な細菌世界の健康状態や多様性に影響を及ぼすようです。

不健康な腸は睡眠不足と認知機能低下の関連性を示す

腸の健康状態が、うつ病や不安神経症、心的外傷後ストレス障害などの精神疾患の発症に重要な影響を及ぼします。うつ病の治療薬は、腸内の微生物の生態に影響を与え、その治療薬がうつ病を効果的に治療する能力に影響を与える可能性もあります。

睡眠不足と加齢に伴う認知機能の低下との関係において、マイクロバイオームが関与している可能性があり、睡眠の質が高いこと、認知の柔軟性が高いこと、有益な腸内細菌のレベルが高いことに強い関連性があることがわかりました。

睡眠不足が腸内細菌に及ぼす影響は、睡眠不足が高齢者の認知機能低下に寄与し、健康な腸は睡眠不足が認知機能に及ぼす影響から身を守る可能性があるとしています。

断片的な睡眠はマイクロバイオームと肥満に影響する

断片的な睡眠とは、一晩中何度も目が覚めてしまうような、落ち着かず、リフレッシュできない睡眠のことです。睡眠障害、特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人は、このような睡眠の質の低下に悩まされることが多く、深い眠りとレム睡眠という最も回復力の高い段階に十分な時間を割くことができないでいるのです。

睡眠時間の短縮が代謝や食事パターンの変化を引き起こし、肥満2型糖尿病などの代謝異常のリスクを高めます。マイクロバイオームの機能不全が、肥満やその他の代謝異常の原因となる代謝の変化を引き起こす重要な要因です。

断片的な睡眠は、代謝機能障害につながる炎症を誘発することもあり、マイクロバイオームが代謝の健康に及ぼす影響に重要な役割を担っている可能性があります。

睡眠を改善し、睡眠の質の低下や睡眠時無呼吸症候群の問題に対処することは、代謝の健康を守り、体重増加や糖尿病のリスクを軽減するのに役立ちます。

ストレスは腸内環境に悪影響

ストレスは睡眠の問題を引き起こす主要な要因です。仕事、経済、家庭など、さまざまなストレスが重なり合い、睡眠を妨げているのです。また、腸内環境とストレスの間には、双方向の強力な関係があります。ストレスは腸内環境に悪影響を及ぼし、腸内環境の悪化は身体のストレス反応を悪化させるのです。

マイクロバイオームが夜間の休息状態に影響を与える可能性があり、プロバイオティクスやその他のマイクロバイオームを標的とした治療法を用いて睡眠を保護・改善できる可能性があります。

腸内環境を整え同時に睡眠を改善する方法

腸内環境を整え同時に睡眠を改善する方法
腸内環境を整え同時に睡眠を改善する方法

腸内の微生物生態系が私たちの健康に大きな影響を及ぼしていることは明らかです。腸の健康に気を配ることは、糖尿病や心臓病などの慢性疾患のリスクを減らすことにつながります。また、脳と認知機能を保護し、感情的・心理的な幸福感を向上させることができるかもしれません。よく眠れるようになる可能性もあります。

食材をあまり加工せずに丸ごと食べる

食材をあまり加工せずに丸ごと食べることにこだわる食生活はマイクロバイオームの健康状態に大きな影響を与えます。糖分や脂肪分、加工度の高い食品を多く含む食事は、腸内細菌の構成を変化させ、有益な微生物の数を減らしてしまう可能性があります。これらの食品を制限し、野菜、果物、全粒粉などの加工されていない栄養豊富な食品に置き換えることで、腸内によい細菌を回復し保護することができます。

オーガニックのものを食べる

できる限りオーガニックのものを食べましょう。農薬はマイクロバイオームを変化させ、有益なバクテリアに害を与えます。オーガニックは野菜や果物だけではありません。豆類、穀物、乳製品、その他の動物性食品もオーガニックのものを探してみてください。

いろいろな野菜や果物を食べる

丸ごとの野菜や果物を豊富に含む食事は、健康的な生活、そして健康的な睡眠の基礎となるものです。善玉菌の多様性を保つには、植物性の食品をできるだけ幅広く食べることが大切です。いろいろな野菜や果物を食べることは、腸の健康にも睡眠にも良いのです。

プレバイオティクスを摂取する

プレバイオティクスは腸内にいる何兆もの微生物のエネルギー源です。アスパラガス、リンゴ、アーティチョーク、バナナ、タマネギ、ネギ、ニンニクなど、繊維質の多い植物性食品はプレバイオティクスのよい摂取源となります。また、プレバイオティクスはサプリメントの形でも入手できます。プレバイオティクスが豊富な食事は、ストレスを軽減し、睡眠を改善するのです。

夜は食べ過ぎない

空腹で寝るのは睡眠によくありませんが、寝る直前に大食いすると消化器系を活発化させ、本来なら消化を休ませるべき時間帯に、消化器系を働かせてしまいます。長い1日の終わり、精神的にも肉体的にも疲れている時に、砂糖や加工脂肪を摂りたくなるのを我慢するのは難しいものです。夜食の誘惑に負けてしまう人は、睡眠とマイクロバイオームにやさしいものを選んで食べるようにしましょう。

睡眠前のおやつは、消化が良くて複合糖質とたんぱく質の組み合わせで、200キロカロリー前後が最適です。

定期的に運動する

定期的な運動は睡眠にとても効果的です。運動をすると眠りにつきやすくなり、夜もぐっすり眠れるようになります。運動がマイクロバイオームの構成を変え、炎症を抑える有益な微生物の量を増加させます。また、運動がマイクロバイオーム組成に及ぼす効果は、食事とは無関係に起こります。

おわりに

良い睡眠への投資は、健康な腸への投資です。良い食事、ストレス管理、活動的な生活など、腸をケアすることは、睡眠に大きな利益をもたらします。

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