忙しく過ごしている人にありがちなリベンジ夜更かし(報復性夜更かし)とは、忙しい1日に合わないレジャーやリラクゼーションの時間を作るために、わざと寝る時間を遅らせることです。数時間の睡眠を犠牲にしてでも、自分の時間を確保することは良い考えだと思われがちですが、十分な睡眠がとれないまま時間が経つと、睡眠負債を抱えることになります。睡眠不足が続くと、精神的、感情的、身体的な健康が損なわれます。
リベンジ夜更かしについて知ることで、自分がリベンジ夜更かしをしているかどうか、健康に影響を及ぼしているかどうかを理解することができます。睡眠を改善してリベンジ夜更かしをしないようにしましょう。
リベンジ夜更かし(報復性夜更かし)とは

睡眠時間を削ってプライベートの時間を確保することは、今に始まったことではありません。リベンジ夜更かしは、長く厳しい仕事や学校の時間に縛られることで自由を失い、フラストレーションを感じることへの反応があります。ストレスの多い生活へのリベンジとして、夜更かしをして余暇や娯楽、リラクゼーションを楽しむのです。しかし、結局のところ、就寝時間を先延ばしにした結果、睡眠不足に陥ってしまうのです。
リベンジ夜更かしを定義する、次の3つの特徴があります。
- 睡眠時間がいつもより減る遅い就寝時間
- 就寝時間を遅らせる正当な理由がない
- 夜更かしをすることはよくないとわかっている
リベンジ夜更かしには大きく分けて寝るのを遅らせるのと、寝ながら先延ばし(テレビ鑑賞や動画配信、スマートフォンをいじるなどをして、寝るのを遅らせてしまう)するのとで2つのタイプがあります。
寝る時間を先延ばしにする理由

仕事や日常生活に追われ、娯楽やリラックスのための時間を確保することが難しくなっています。人によっては、就寝を先延ばしにすることで、自分の責任から解放され、コントロールできるようになるのです。
自制心と就寝時刻の先延ばしには関連性があると言われています。1日の終わりに就寝時間が近づくと、私たちの行動を規制する能力はすでに最低の状態になっています。睡眠不足の人は、就寝時刻を守るという規制する能力がさらに低下している可能性があります。さらに、学校や仕事など、生活の他の場面で先延ばしにしている人は、就寝時間を先延ばしにする傾向があります。
また、就寝時間の先延ばしは、クロノタイプに関係しているとも言われています。クロノタイプとは、夜型や朝型といった1日のうち特定の時間帯に眠たくなる生物学的傾向のことです。夜型の人は、他のクロノタイプに比べ、平日の就寝時間を先延ばしにする傾向があるそうです。
睡眠を先延ばしにすることの影響

睡眠を先延ばしにしている人の特徴として、正当な理由なく意図的に夜更かしをすることで睡眠時間を確保できなくなります。睡眠不足は、精神的、感情的、身体的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
精神的・情緒的な影響
就寝前の先延ばしによる睡眠不足は、精神的・感情的な健康に様々な影響を及ぼす可能性があります。
- 不安や抑うつなどの気分障害
- 思考、記憶、注意力の低下
- 判断力、意思決定力の低下
- 精力や性欲が減退
睡眠不足による日中の過度の眠気とともに、精神的・感情的な健康の変化は、仕事や学業のパフォーマンスだけでなく、生活の質にも影響を及ぼす可能性があります。
物理的な影響
睡眠不足による精神的・感情的な副作用に加え、毎晩の推奨睡眠時間を確保できていない人は、以下のような身体的影響を受ける可能性があります。
- 日中の眠気は労働災害や自動車事故につながる
- 心血管系疾患のリスク増加
- 免疫反応の低下により風邪をひきやすくなる
- 代謝の変化により肥満や2型糖尿病を引き起こす可能性がある
リベンジ夜更かしを止める方法

睡眠の先延ばしを止めるには、自分のための時間を作ることと、睡眠習慣を改善することが重要です。
日中に自分のための時間を作る
就寝を先延ばしにしてしまう人は、自分のための時間を作り、日常的にセルフケアを実践することが有効です。起きている間にセルフケアを実践することは、ストレスを軽減し、心身の健康を増進し、活力レベルを高め、よりよく生きることにつながります。自分のための時間を作り、セルフケアを実践するには、次のような方法があります。
健康的な食事と水分補給
バランスのとれた食事と水分補給をすることで、最高の体調を保つことができます。アルコール、カフェイン入りの炭酸飲料、コーヒー、紅茶を控えることも、質の良い睡眠をとるための準備として大切です。
その日の優先順位と目標を設定する
今日やらなければならないこと、明日まで待てることは何かを考えましょう。これには、その日のうちに余計な仕事を切り上げたり、不要な活動や不必要な行動を断ったりすることも含まれます。
日中にリラックスする時間を作る
1日のうちで、リラックスしてストレスを解消する時間を定期的に設けましょう。瞑想や呼吸法、ストレッチなどがあります。
仕事と家庭の境界線を設定する
リモートワークなど家で過ごす時間が増えたことで、仕事と家庭の境界線があいまいになり、勤務時間が長くなっています。自宅で仕事をする場合は、仕事のスケジュールを明確にし、一日の終わりには仕事から一歩離れるようにしましょう。
運動の時間を作る
1日30分程度の運動が気分や健康、睡眠の質を向上させてくれます。30分の運動時間を確保することができなくても、少量の運動でも構いません。少しずつでも良いので、一日のうち、ちょっとした休憩で散歩をしたり、体を動かしたりすることで、積み重ねになります。
日記をつける
日記を書くことがリラクゼーションになる人もいます。日記は、日々の感謝の気持ちを書き、毎晩見直す場所にもなります。また、その日にあったストレスの原因を書き留めることもできます。そうすることで、心が静まり、ストレスが軽減され、1日の終わりにリラックスするために、より良い睡眠をとるための準備ができます。
寝る前の習慣をつける
睡眠を優先させることは、より健康的な睡眠習慣を取り戻すために必要です。睡眠を優先することは、睡眠衛生を改善することでもあります。現在の生活習慣を少し変えるだけで、より良い睡眠をとることができます。
一貫した睡眠スケジュールを維持する
平日も週末も同じ時間に就寝・起床しましょう。起床時間や就寝時間を1時間以上変えると、体のサーカディアンリズムが乱れることがあります。
寝る前の準備の時間を作る
眠る前に1時間ほどリラックスする時間をつくりましょう。お風呂やシャワーを浴びたり、瞑想をしたり、読書をしたり、リラクゼーションテクニックを使ったりして、心身をリラックスさせ、眠りにつく準備をするのです。
寝る前のスクリーンタイムを制限する
寝る前のスクリーンタイムが睡眠にどのような影響を与えるか考えてみましょう。スマートフォンなどの電子機器の光は、脳に起床時刻を知らせる可能性があり、寝つきを悪くすることがあります。必要に応じて電子機器をベッドや寝室には置かないようにしましょう。
眠りやすい環境を整える
ぐっすり眠るためには、睡眠環境が重要です。寝室を暗く、静かに、涼しくすることは、睡眠の質を高めてくれます。マットレスや枕、寝具を心地よいものにすることも効果的です。
コメント