テストまで時間がなく、一夜漬けをするしかないなんて悩んでいる方がいるかもしれませんね。記憶を定着させるにはその時に憶えるだけでなく、憶えた後の対応が重要なのです。その方法についてお伝えします。
合格ラインを下げることが記憶を促す
一夜漬けを効果的にするには、実は一夜漬けにあまり大きな期待を抱かないという、一見矛盾した原則をわきまえることが必要なのです。
なぜなら、日ごろ丹念に勉強を続けてきた場合に比べて、一日や二日の勉強で達成できる可能性が低くなるのは当然だからです。
そこで、一夜漬けをしなくてはならないような追い込まれたときは、満点や90点、80点を取ることはあきらめ、70点を目標にしましょう。
こうすれば、同じ時間でもそれだけ内容を絞って憶えることができます。
つまり、無理やり100の内容を詰めこんで、すべてがあやふやになって点数が取れないよりは、70%ほどの中身を確実に憶えて、ぬかりなく70点を獲得するほうが賢明であり、実戦向きの戦術なのです。
このように、要求水準を下げることによって記憶を確実にする側面があります。
一夜漬け後にポイントに目を通せば記憶が倍増する
「昨夜に憶えたからもう大丈夫」と安心しきって、翌朝にテストに出かけたらまるで思い出せず、途方にくれたという経験をしたことがある人も多いかもしれません。
このことはドイツの心理学者エビングハウスが、すでに19世紀に実験によって明らかにしています。
完全に憶えたものでも20分後には42%が忘れられ、1時間後には56%、9時間後には64%が忘れてしまう。
つまり、そのままでは、記憶は一晩どころか半日ももたないのです。
この実験は、意味のない文字の羅列について行なわれたものですが、意味のある系列についても忘却率は変りますが、原理的には同様の傾向があります。
つまり、忘れないためには、この忘却率があまり高くならないうちに再び刺激を与えなくてはならないのです。
そのためには、一夜漬けをしたときなど、眠ったあとの復習が必要です。
しかも睡眠中は、記憶の痕跡は量的には減ってもスジの通ったものや形のよいもの、あるいは関連したものが集まって整頓されていきます。
そこで、本番の前に一度ポイントに目を通しておくと、記憶はより確実なものになり、一夜づけの効果を倍増させることができるのです。
ノートの量は少ないほど、全体の記憶に役立つ。
授業や講義のときに一生懸命ノートに書いている人がいますね。
ただ、ノートを一生懸命書く人に限って、話の理解度は浅く試験の結果もよくないことが少なくないのです。
なぜ成績が悪いかといえば、ノートを書くこと自体を一つの目的にしてしまっているからです。
ノートは本来、記憶や理解の補助具にすぎません。
どこのノートに書き込むのがいいかって、自分の頭の中のノートに書き込むのがいちばんいいのです。
これが記憶であり理解というものです。
いくらノートにぎっしりと知識を詰めこんでも、頭の中に残らなければまったく意味がありません。
しかし、人間はノートに記入すると、それで自分の知識がそれだけ増えたような妙な錯覚をもつ傾向があるのです。
しかも詳しくノートするという作業は、たいへんな労力を要します。
この労力のため、本当の記憶や理解がおろそかになってしまっては元も子もありません。
ノートへの書き込みは最小限のキーワードにとどめ、そのキーワードで記憶を想起する作業を繰返すことによってこそ、記憶は確かなものになっていくのです。
まとめ
・時間が限られているときは要求水準を下げることによって記憶を確実にする
・一夜漬けをしたときは眠ったあとの復習をすることで記憶が定着する
・ノートへの書き込みは最小限にして記憶することに注力する
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