いざテスト本番となったときに頭の中が真っ白になってしまったことはないでしょうか?何のために勉強するのか、それはテスト本番でよい点数を取って合格するためにあります。記憶を定着させ、本番でしっかり思い出すための記憶法について解説します。
本番の問題を予想しながら勉強すると記憶しやすい
テストの問題をさまざまな角度から予想しながら憶えていくことで、テスト対策にもなりますし、記憶の定着にもつながります。
たとえば、英語の単語を憶えるときには、頭のなかで、意味の問題が出る場合、スペルを聞かれたら?アクセントを聞かれたら?という具合に、予想しながらやっていきます。
その単語を含んだ文章を想定して、それに訳文をつけてみることもできます。
このように憶えると、知識が客観的になる効用があるほか、記憶される素材を多方面から着目することで記憶を確実にする効果があります。
つまり、特定の一方向だけだと記憶した内容の連関が頭の中で失われたときに忘れてしまいますが、複数の切り口があると、さまざまに連関して忘れにくくなる効用があるのです。
憶えるからには、その知識がテストで思い出されなければ、まったく意味がありません。
憶えたのに、テストのときどうしても思い出せないということは、結果的には憶えていないことと同じです。
だから、記憶の再生の場面を想定しながら、その記憶を実際に使う形で憶えていくことは、いざ再生の必要が出たときにすぐ記憶が思い出されるようにすることにもつながるのです。
慣れ親しんだもの近くに置くことで記憶の出入りがスムーズになる
憶えるとき、近くに日ごろから親しんでいるものを置いておくと、不思議に気分がゆったりして、よく憶えられるものです。
自分の愛用品はまさに自分の分身であり、心理学では延長自我にあたります。
お気に入りのモノがあることによって、自我の拡大ができ、自分が自由にできる範囲が広まったように感じられて、気分が落ち着くのです。
外から家に帰ってきたときにくつろげる、という気分と同じです。
愛用品に暖かく守られて、緊張から解放され、なんでもできると思うことが、記憶を促進させるのです。
これは、憶えた知識を思い出すときにも役に立ちます。
愛用品を傍において憶えたことは、思い出すときに、まず状況から思い出し、記憶した内容との関連で何を憶えたかが思い出されてきます。
愛用品は、記憶再生のきっかけとして機能するのです。
明日の朝までに憶えてしまわなくてはという切羽詰まったときには、緊張が記憶を抑制することになりかねません。
いつも慣れ親しんだものを勉強机の上に置くだけでも、リラックスでき、短い時間をより有効に使えるようになります。
苦労して解いたものは記憶に留めやすい
たとえば、数学や物理の苦手な人の中には、難しい問題にぶつかると、あまり考えもせずに、すぐ正解を見てしまう人が多いかもしれません。
解答を見て勝手に納得して、もうわかったかのような気になってしまうのです。
しかし、解答を見ただけで納得したつもりになっているだけでは、しばらくするとすっかり忘れているのに気づくことが珍しくありません。
これに対して、問題解決までにあれこれと試行錯誤を繰返し、苦しんで答えを出したものは、いつまでも鮮明に記憶に残ることが明らかになっています。
これは、時間をかけたからとか、あるいは苦しめば報いられるという精神論からではなく、頭の中の仕組みのうえに大きな変化が起こるからなのです。
心理学では、この変化を認知構造の変換としています。
一般的には、同じものが今までとまったく異なった機能をもつものとして、認知されることをいいます。
試行錯誤を繰返すうちに、あるひらめきから問題が解けるということは、問題を解決する見通しができると同時に、その問題がどのような仕組みになっていて、どこに解決のカギがあるのか、構造的にとらえられるということです。
ただの当てずっぽうやまぐれで問題が解けたのとは違って、問題の中にあるポイントを的確にとらえ、その問題を本質的に理解したことになるのです。
いままで真っ暗だった前途に、一条の光が貫き、解決法を照らしだしたかのように感じられるでしょう。
そうなると、たった一回の経験でも、記憶には鮮烈に残ります。
基礎的な公式でも、ただ公式として丸暗記するのでなく、苦労してでも、自分で証明してみるとよく記憶できるのも、公式を単純な形としてでなく構造として捉えられるからなのです。
まとめ
・本番の問題を様々な角度から予想しながら勉強すると知識が関連して記憶しやすい
・自分の愛用品などを近くに置くことでスムーズに記憶の出し入れできる
・苦労して自分で証明することで構造として捉えられることができて記憶されやすい
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