淡々と憶えるのってなかなか難しいものですね。なかなか頭の中に入ってこないときはどうしたらよいのでしょうか?そんなときは自分の感情を味方につけると記憶量がアップします。そんな記憶術を紹介します。
楽しいことに結びつけて憶える
学生のころに、心にいちばん残っていること、という作文を書こうとすると、いろいろな思い出話の中でも、楽しい話がもっとも強く記憶されているものでした。
人は、幼少時代からさまざまな体験をしていますが、一般に悲しいことやつらいことは忘れられ、楽しかったことは記憶に留まりやすい傾向があります。
精神分析の祖であるフロイトは、かつて「自我に脅威を与えるようなことがらは、無意識の世界に抑圧されて、なかなか意識レベルに上昇してこない」という意味のことを言ったことがあります。
私たちが、ときに、暗い記憶を夢に見るのは、そこが無意識に支配される世界だからでしょう。
こうした人間の精神活動を考えると、何かを記憶するときには、できるだけ楽しい体験と結びつけると憶えやすいことがわかります。
仮に、嫌いな化学分子式を憶えなければならないとして、嫌だなあと思いながら憶えようとしても、なかなか憶えることができません。
たとえば、塩化ナトリウムなら、友だちが間違えて塩をコーヒーに入れて飲んでしまった笑い話を思い出すなど、楽しい話のオブラートに包んだ知識なら、スラスラといくらでも頭に入るのです。
憶えたい言葉を入れたストーリーを作って一気に憶える
バラバラの知識ほど憶えにくいものはありません。
たくさん憶えなくてはならないときには、それらを一挙にまとめて憶えてしまうほうが能率的であり、しかも記憶に固定しやすいのです。
そのために、記憶術でよく用いられているのが、憶えたい言葉を一つの文脈の中に入れ込こんで、ひとつのストーリーをつくりあげ、全体の流れのなかで憶え込む方法です。
それには、第一に、バカげたストーリーをつくりあげることが必要です。
一般的に、人はありふれた出来事は憶えていないが、奇抜で、不思議な、法外な、といったバカげたことを見たり聞いたりすれば、長い時間憶えていると言われており、異様なことほど記憶に残るのです。
第二には、イメージ化することです。
ちょうど映画のように仕立てあげるのです。
単語ならば、イメージを浮かべやすいものに変えて、そのイメージをつなげて、ストーリーをつくります。
つまり、アニメーションのように、バカげたシーンが連続するストーリーを創作して憶えるわけです。
アメリカで行なわれた実験によると、このストーリー化法は、バラバラに憶えるより7倍も保持率が高いという結果が出ています。
ですから英単語や歴史的事件のつながりなどの記憶には、ぴったりなのです。
頭文字を並べて意味のある言葉・文章をリズムよく憶える
頭の文字をまとめて並べ、意味のあるリズミカルな文章にしてしまうと、数やアルファベット、あるいは漢字の列が、いくつでも頭に入ってしまいます。
その例をいくつかあげてみましょう。
太陽に近い順に並べた惑星: 水 金 地火 木 土 天 海 冥(すいきん ち か もく ど てんかいめい)
虹の七色の順:アオキミ、アイス(赤、オレンジ、黄、緑、青、インジゴ〈藍〉、すみれ色)
金属のイオン化傾向:貸そうか、まああてにすな、ひどすぎる借(白)金(K Na〈ソーダ〉 Ca Mg Zn Al Fe Ni Sn Pb Cu Hg Au Pt)
この最初の例は、意味よりも、むしろリズムで憶えてしまうものです。
自分にとって憶えやすいリズムならたとえ意味はなくても、口ざわりだけで長く記憶できるものです。
自分に合うリズムを作ってみることをおすすめします。
まとめ
・できるだけ楽しい体験と結びつけると憶えやすい
・憶えたい言葉を入れたストーリーを作り、全体の流れの中で憶え込む
・自分にとって憶えやすいリズムで口ざわりだけで長く記憶する
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