憶えたつもりでもすぐに忘れてしまう、なんてことがあるかもしれませんね。
ひとつひとつを記憶していくことはもちろん大切なのですが、記憶を長く強固なものにするには憶え方のコツがあるのです。
心理学や生理学に基づいた記憶法を知っていきましょう。
既に知っている内容に結びついた記憶は確実なものになる
![既に知っている内容に結びついた記憶は確実なものになる](https://life-0123.com/wp-content/uploads/2022/05/hdd-g0663ae36d_1280-800x533.jpg)
記憶とはバラバラに存在するものではありません。
例えば家を建てるのと同じで、基礎から積み上げていくものです。
子供のころから習得・復習してきた基礎情報に、新しい情報をうまく根づかせることが、そのまま記憶の増進になります。
心理学では、これをアンカリングと言いますが、人間は無意識のうちにアンカリングをしています。
このアンカリング・ポイントが、人間の感覚や頭脳にとって、とても大切なものです。
既に自分の知っている知識にアンカリング・ポイントを求めるようにし、それを手がかりにすることによって、新しい知識を記憶の中に固定することができるのです。
中途半端に納得したものは記憶されにくい
教科書や参考書をサラッとやっただけでは、かろうじて憶えているだけで、はっきりとした記憶として試験のときまで保持することは、まずありません。
そして、試験が終わった後になって、反復しておけばよかったと後悔したという経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
記憶にとって反復することはとても重要なことです。
心理学では学習したあとも繰り返し反復することを過剰学習と言います。
英語の単語をはじめ、日本史や世界史の年代、人名や地名、いずれも過剰学習である何度も繰り返して復習することによって、確実なものとして保持されるわけです。
生理学によると、脳に入った情報はニューロン(神経細胞)を何度も回転させながら、一定の時間が経過すると、記憶痕跡として固定します。
反復はこのことを促進する役割を果たしているのです。
最初にしっかり憶えることが長く記憶させることにつながる
ところで、人間の記憶というものは、どのくらいの期間で確実に保持されるものなのでしょうか。
既に述べたように、記憶は孤立して存在したり、機能するものではありません。
それぞれに関係し、時間が経過するにつれて、他のものと混ぜ合わされて変容したり、歪みを生じてきます。
しかし、その変容については、最初憶えるときに、どのくらいしっかりと記憶されているかによります。
10歳のときに暗記したものが、73歳になっても残存していることでもわかるように、はじめに完璧に憶えておけば、長く記憶できるのです。
逆に、中途半端であったり、あやふやに憶えたりすると、早くに変容して、どんどん記憶のなかから消えていってしまうというのです。
脳と記憶のメカニズムを知って効果的な記憶法を身につける
![脳と記憶のメカニズムを知って効果的な記憶法を身につける](https://life-0123.com/wp-content/uploads/2022/05/gear-g59f47e6ae_1280-800x486.jpg)
あまり必要でないことを記憶してしまい肝心なことが記憶できなかった、なんて経験はないでしょうか。
実は、不要な記憶は必要な記憶を思い出すときに邪魔をすることがあるのです。
そのメカニズムを知ることで、記憶する内容を選んで効率よく記憶する方法があります。
不要な記憶は必要な記憶の妨げになる
受験勉強に疲れて映画を観に出かけ、帰ってきてすぐ勉強にとりかかると、観てきた映画のことが頭に浮かんできて、なかなか頭に入ってこない…こんな経験をされた人もいるかもしれません。
これは、映画の記憶が邪魔をして必要な記憶の進入や定着を妨げているからです。
人間の脳細胞の数は約140億個ですが、このうち有効に働いているのはそのうちの約5%ぐらいと言われています。
だとすれば、脳の働きには十分な余剰能力があり、いくら憶えても脳がすり減るなどということはないと思いますよね。
しかし、記憶の仕組みというのは脳細胞の数だけではわからないものです。
脳に入った情報は、脳の中で網の目のように結び合い、絡まりあいながら機能します。
そして、外からの刺激に応じて再生されます。
あまり役に立たない情報が詰めこまれていると、必要な情報の間で引っかかってしまい、新しい情報を抑圧することになります。
たとえ必要なものが記憶のなかにはいっても、再生されるときには、不要なものも一緒についてきたりして、不明暸な情報しか提供してくれません。
このことから、勉強にとりかかるときには、頭を完全に切り替えて白紙の状態にしておくことが必要なのです。
勉強や記憶で使うエネルギーを節約する
人間が記憶をしようとするときには、脳細胞を最大限に働かせると同時に、心的なエネルギーを十分に注入する必要があります。
勉強のあとで、頭をはじめ全身がぐったりとするのもこのためです。
このエネルギーを勉強に費やすために、勉強に無関係なことはメモに書き込むようにしましょう。
そして、メモしたという事実だけを憶えておき、その内容は忘れるようにすると、記憶が節約されるばかりでなく、その分だけ勉強に意識を集中し、エネルギーを注ぐことができます。
現代は情報時代であり、あらゆる情報が洪水のように押し寄せてきます。
その洪水に飲み込まれないようにするには、その中から、何を憶え何を憶えないかを判断することが、とてもに重要です。
直接、脳という生きたメモから再生する必要のない情報はメモを書くことで補い、記憶から排除できれば、自分の記憶はいつでも思い出せるように整理された状態にできます。
そのためには、常にスマホや手帳か小型のノートを持ち歩くようにしたいものですね。
体調や精神状態を考慮して工夫することで記憶が定着しやすくなる
![体調や精神状態を考慮して工夫することで記憶が定着しやすくなる](https://life-0123.com/wp-content/uploads/2022/05/masks-g6dcc04c2f_1280-800x533.jpg)
記憶するとき、何から憶えていけばよいのかということに無関心な人が多く、自分の頭の状態に合わない憶え方をしている人を見かけます。
その結果、なかなか憶えられないと嘆いているのですが、人間の精神状態は喜怒哀楽があり、一定ではありません。
好調なときもあれば、不調なときもあります。
それが記憶に微妙な影響を及ぼしているのです。
記憶する順序は、自分の頭のリズムに合わせる
たとえば、自分の頭のリズムが好調なときには、その勢いを利用し、難しいものから始め、だんだん易しいものに移っていくという方法が考えられます。
不調のときは逆に、易しいものから始めたり、楽しいものを先頭にもってきたりして、ウォーミングアップに気を遣いましょう。
頭のリズムによって優先順位を決め、しかも飽きがこないように、憶える内容に変化をつけながら、悪く言えば、自分の頭をだましだまし憶えていくことが必要なのです。
記憶は使うことによって、より確実になる
記憶をいつもフレッシュな状態に保つためには、常に頭を使っていることが必要です。
記憶は使えば使った分だけ減るというものではありません。
憶えたことを使うことによって、常に記憶の内容がチェックされ、不完全な記憶は補強されて、いつでも必要に応じて引き出せるように整えられるのです。
例えば、学校で授業を受けていると、先生は黒板の上でじつに手ぎわよく難解な問題を解いては消し、また新しい問題をスラスラ解いていきますね。
先生は担当教科に対する力があるのはもちろんですが、それと同時に記憶にかなり助けられていたりします。
こんな問題ならこの解き方、という具合に頭のなかに即座に浮かんでくるのではないでしょうか。
一度憶えた知識は温存しないでどんどん使ってみることです。
関連したものを「まとめて」「つなげる」ことで記憶に定着させる
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記憶力のいい人とは、憶えたことを引き出しとすると、その引き出しの整理ができている人のことです。
反対に、記憶力の悪い人は、ひとつひとつの引き出しに雑多なものが勝手に押しこめられているため、思い出すことに苦労するのです。
この整理ができれば、記憶が定着します。
日ごろから分類して憶えるように心がけていると、引き出しが整えられて出し入れ自由になり、思い出しやすくなります。
憶えたいことを分類・整理することで効率的に記憶できる
たとえば、以下の10の言葉を記憶するとします。
馬、帽子、牛、クローゼット、テーブル、たんす、眼鏡、すずめ、クツ、指輪
もちろん、頭からそのまま暗記する方法もありますが、より憶えやすくするには、これらのことばを分類・整理してみることです。
【家具】クローゼット、テーブル、たんす
【動物】馬、牛、すずめ
【身につけるもの】帽子、眼鏡、クツ、指輪
このように各カテゴリーごとに憶えると、はるかに速くて正確に憶えることができます。
これはなぜでしょうか?
人間の頭は、例えるならば、たんすと同じようなもので引き出しがついています。
そして、外からの情報が適切な引き出しに入れられると、より長く、しかも正確に保存されます。
この引き出しは心理学では関係枠と名づけられていますが、どんな情報も適切な引き出しに入れられてこそ自由にひっぱり出せる、つまり、思い出しやすくなるのです。
関連事項をグルーピングすると記憶しやすい
記憶というものは、単独に憶えるよりも関連事項をひとまとめで憶えたほうが、憶えやすくもあり、長く憶えられます。
英語の単語を憶える際にも、この原則をあてはめることができます。
poor(貧しい)という単語を、単独に憶えるのでなく、関連語と一緒に憶えるのです。
名詞形のpoverty(貧困)
反意語のrich(富んだ)
The scholar was very poor.(あの学者は、とても貧乏だった)
ここまで記憶すると、数語の単語と1つのセンテンスを、同時に憶えられるだけでなく、当初の目的であるpoor自体の記憶も、単独に憶えるより強固なものになるのです。
おわりに
記憶が苦手だと思っていたとしても、考え方を変えていくだけで、苦手を克服できます。
さらには得意になっていき、記憶力が高まることで勉強も楽しくなります。
最初から決めつけずに、少しずつでもマインドチェンジすることで記憶力を高めて得意にしていきましょう。
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