記憶したはずだけど、いざテスト本番ではなかなか思い出せずに困った経験をしたことがある人も多いと思います。実は憶えたつもりになっていただけで記憶が定着していなかったのです。記憶の定着はどのようにしたらいいのでしょうか。その方法をお伝えします。キーワードは「3回」です。
教科書や参考書は最低3回読むようにすると記憶の定着度は強くなる
教科書や参考書の内容がなかなか頭に入ってこないときは、少なくとも3回読むようにすることをオススメします。
ただし、ただ漫然と3回読むだけではありません。
まず、1回目に読むときは、サッと眼を通すだけにして、大筋をつかみながら、重要だと思うところに薄くマーキングします。
2回目に読むときは、論理展開にポイントを置きながら、重要な語句やセンテンスの横に、しっかりマーキングします。
最後の3回目には、重要語句や重要事項の部分をマルで囲んでいきます。
こうして一冊の本をそれぞれ別々な読み方で、合計3回読み返していきます。
全体の流れを掴んだうえで、重要箇所をチェックし、さらに細かく重要事項を拾いあげることで、はじめて全体が関連づけられて記憶できるのです。
反復し、集中して読めば、理解度が記憶度を高めるのに役立つのです。
同じ内容でも違う形式で繰返すと記憶はより確実になる
記憶にとって、繰返すことは必要な要素です。
この繰返しの仕方にもいろいろな方法があり、特に、一度憶えたはずの知識を、より確実にし、思い出しやすくするには、それなりの工夫が必要になります。
記憶の第一段階における繰返しは、とにかく同じ内容を同じ方法で機械的に繰返すことです。
英語の単語、歴史の年代、人名とその業績、化学式、数学や物理の公式、いずれをとっても最初憶えるときは、理屈抜きでとにかく反復訓練します。
しかし、こうしていったん憶えた記憶を、より確実なものにし、思い出しやすくするには、こうした同じ方法による反復訓練だけでは少し心配なところがあります。
単純な反復作業は、どうしても慣れや飽きを生じやすいため、目が単に活字の上を走っているというようなことになりかねないのです。
特に、記憶の確認は、最初憶えたときと同じ方法では、常にその知識をある一方向から眺めるだけに終わりやすく、効率のよい方法ではありません。
そこで、記憶の確実化をはかるためには、その知識に関して過去にとってきた方法とできるだけ、別な方法をとるようにします。
まったく同じ内容でも、それに接する形が違うと、その内容が新鮮に見え、さらには同じ内容の別の面が発見できるという効用があるのです。
記憶についても、これとまったく同じことが言えるのです。
歴史の勉強でも、最初に教科書を繰返し読んで憶えたら、つぎには年表で確認し、さらに参考書を使い、つぎに歴史地図にあたり、さらに間題集をやるというように、角度を変えて憶えます。
予習、復習、授業で、それぞれ形を変えてやってみるのもいいでしょう。
こうして、形をずらしながら繰返すと、そのたびに思考がまったく異なったパターンで展開し、反復の効果が出るのです。
英単語を憶えるにしても、英単語を見てその意味を日本語で言うという方法だけでなく、単語帳を逆に見て日本語から英語を思い出す方法や、その語を含んだ短文を訳す方法、その語を使った英作文をする方法など、多角的に攻めることによって、記憶は、もう忘れたくても忘れられないほど強固なものになっていくはずです。
憶えたと思ったことでも安心せずにもう3回繰返す
徹底して憶えたものは、おおまかに憶えたものより、長期間、鮮明に憶えているものです。
試験に出そうもない箇所や簡単な箇所はつい流しがちになりますが、試験でミスを犯すのはだいたいこの部分です。
「もう憶えた」「ここは簡単に憶えられる」という安心感が、実はくせものなのです。
こうしたミスを犯さないためには、憶えたことを何度も繰返す過剰学習が必要になってきます。
何度も繰返すなどというと、大変な作業のように思えるでしょうが、習慣化してしまえば、繰返すのがあたりまえというように、記憶のパターンがつくられます。
多くのスポーツにおいても、この過剰学習が大変重要視されています。
やさしいこと、基本的なことを何度も繰返すことが、他のどんな練習をするよりも上達に結びつくというのです。
そのために、野球では正しいフォームでバットの素振りを繰返すことが奨励されています。
ゴルフでも、一日一回クラブを握るとか、クラブを振るとかの簡単なことが、上達のためのなによりの秘訣だと言われます。
基本的なことをおろそかにしたために、いざ本番で三振したり、とんでもないミスを犯すことになるのですが、記憶でもっとも危険なのも、基本をおろそかにして「もう憶えた」と安心してしまうことです。
過剰学習の原理も、憶えたあと何度も繰返し、記憶を大切にしてあげようというところに特徴があります。
過剰などというと、何か余分なことをやるという意味に受け取られがちですが、これが記憶を確かにするもっとも早道なのです。
どんなに簡単なことでも、とにかく3回は繰返してみることです。
すると、今まで5回も6回も繰返さなければ憶えられなかったことも、不思議と3回で憶えられるようになります。
おそらく、3回繰返せば憶えられるということが自己暗示になって、記憶によい影響を与えるのでしょう。
ここまでくれば、過剰学習が負担になるどころか、勉強の能率をあげるポイントにもなります。
また、この3回の繰返しが慣れになると、科目の違いによる記憶の濃淡も少なくなり、どんなささいなことも、しっかりと根を張っている状態をつくりだすことができるため、テストでも確実に点数が取れるようになってくるのです。
まとめ
・教科書や参考書は3回以上読み返すことで記憶に定着しやすくなる
・形をずらしながら繰返すことで思考のパターンが変わり反復の効果が出る
・憶えたと思ったことを過剰学習することで記憶が確実になる
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