記憶力を高めて勉強できるための知識を増やす工夫とは

記憶力を高めて勉強できるための知識を増やす工夫とは 勉強法
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暗記するためにも工夫することで楽に覚えることができます。

心理学をうまく使い、自分のモチベーションや集中力を高めて勉強を進めましょう。

すぐに勉強の効果が出る方法を解説します。

憶えられる量に小分けして大量に記憶する

憶えられる量に小分けして大量に記憶する

試験前になって憶えなければならないことが大量にあって、もうだめだぁ!と諦めの気持ちになってしまい、試験本番では撃沈…なんてこともあるかもしれませんね。

記憶しなければならないことはちょっとしたコツをつかむと憶えやすくなるのです。

ある程度で区切って憶えた方が効率的

現代国語や英文解釈などで長文読解問題の場合は、まず段落に区切ってみるとよい、ということがよく言われています。

これは、記憶の原理から見ても理にかなっています。

各段落の意味・内容をつかんでから、全体の論旨の把握に向かえば、ダラダラと読み流すよりも、はるかに効率的に内容を理解できるのです。

人間が一度に記憶する量には限界があり、その限度までを一区切りにして憶えれば、脳に余分な負担をかけないで、スムーズに憶えられるのです。

日本史や世界史の年号や英単語、古文の単語などを憶えるときにも、一度にたくさん憶えようとするよりは、いくつかに区切って、ひとかたまりずつ憶えていくほうが、はるかに効率的です。
また、地理などの社会科系科目の小さな項目を暗記していく場合でも、各項目の要点を適当にまとめて憶えるといいでしょう。
こうすれば、全体の構造を把握していけます。

講義のときなど、ノートをとる場合も、ただめったやたらに書くより、講義の区切りごとにまとめたほうが、記憶しやすいのです。

複雑なものは箇条書きにすると憶えやすい

複雑に入り組んだ内容のものを記憶する場合には、まずは箇条書きにしてまとめることからはじめましょう。

箇条書きにすること、頭を整理して憶えやすい形を作ることができます。

こうして記憶しておけば、思い出すときには、まず箇条書きの形が思い浮かび、それぞれの記憶が連携して思い出すことができます。

たとえ部分的には忘れていたとしても、大筋は間違いないことから確かな記憶になるのです。

手間がかかると思うかもしれませんが、ただやみくもに憶えてしまうと、いざ思い出すときには、必要のない記憶ばかりが浮かんできてしまうものです。

箇条書きする時間は、正確に記憶できるという結果によって、しっかり取り戻せるのです。

まずは憶えやすいものから記憶を始める

誰でも試験直前とかでたくさんの憶えることを目の前にしたら、気力がそがれてしまうのではないでしょうか。

ここで、どうしても嫌だという気持ち、記憶を妨害する要因を取り除く必要があります。

それには、憶えなければならないことを机の上に全部積まないで、小出しに机の上に並べるようにしましょう。

つまり、少しずつ記憶するわけです。

たくさんの憶えなければならないことを全体的に見渡すと、これなら簡単に憶えられそうだと思えるものが見つかると思います。

数学なら以前にやった問題によく似たものとか、英単語だったら音節の少ないものなど、とっつきやすい内容を探して、それをまず憶えるのです。

その憶えやすい内容を記憶したら、そのころには気力も出てきているはずなので、勢いで勉強を続けていきましょう。

憶える量が多くても、憶えやすい内容を選んで記憶していくと、知らないうちにかなりの量を消化できます。

あるところまできて後ろを振り返ってみると、「もうここまでやった」と気分的な負担が軽くなって、一気にやれる場合も多いのです。

「まだ、こんなにあるのか」という気分でやるのと、「もうこんなにやったのか」という気分でやるのとでは、当然、能率にも差が出てきます。

量と質からくる嫌な気持ちを取除くには、量を少なくし、質を変えてみるのが、遠回りのようでいて、実は一番の近道なのです。

全体の流れをつかんでから詳細を憶える

全体の流れをつかんでから詳細を憶える

あれもこれもと記憶しても、後から思い出せなかったりします。

まずは全体の流れをつかむことで記憶の柱を作り、続けて詳細を憶えていくことで記憶が固まっていきます。

重要事項を憶えて流れをつかむ

教科書やノートを一字一句すべてを暗記しようとする人がいますが、とくに歴史などをやる場合は、そのような方法では頭がパンクしてしまいます。

歴史科目では、まず重要事項を選び出して憶え、流れとして頭に入れることから始めるようにしましょう。

次にその間を埋めていき、記憶に強弱をつけながら憶えていくのです。

例えば、世界史で古代ローマについて憶えるのなら、
まず伝説上のローマ建国(前753年)
 →第一次ポエニ戦争(前264年)
 →シーザーの暗殺(前44年)
 →アウグストゥスが初代ローマ皇帝に就く(前27年)
 →ローマ帝国分裂(359年)
 →西ローマ帝国崩壊(476年)
といった大きな流れをつかんでおきます。
第二、第三次ポエニ戦争や、ポンペイ市埋没、キリスト教の伝播などは、そのあいだを埋めるものとして、そのあとで記憶していきます。

こうしておくと、再生するときに、大きな流れがまず頭に浮かんできて、つぎに細かいことが関連づけられて思い出すことができます。

さらに、時代把握を誤るなどの初歩的なミスも防げます。

時間があまりないときには、この重要事項をまずは憶えるというやり方であれば、すんなりと頭に入り、安心して試験に臨めます。

赤く大きい字で書き直すことで印象に残す

受験生の参考書を見ると、重要なところを強調するために、ぎっしりと赤い線でアンダーラインが引いてあったりします。

しかし、赤いアンダーラインは引いていても、赤ペンで文字や図を書いて憶えるということは、あまりしていないようです。

もちろん、赤でなくても、書くという動作自体が記憶の助けになることは心理学的にも確かなことです。

しかし、その中でも特に重要なことを明確に記憶するためには、赤字で大きく書いてみるのが有効な方法なのです。

信号で、赤が危険を表わすのは、赤が人間の注意をひきやすいためですが、勉強にもこの原理を取り入れてみましょう。

さらに、黒ペンを赤ペンにもちかえるという動作そのものに、重要であると自分に言い聞かせる効果があるのです。

集中力を高めるための最適な勉強時間

集中力を高めるための最適な勉強時間

「明日がテストだけど全然できてない!」と焦って一夜漬け、さらには徹夜してテストを受けたなんてことがある人も多いかもしれません。

いい結果が出たかどうかはさておき、実は徹夜するよりも寝たほうが記憶が定着するのです。

制限時間を決めると集中力が高まる

制限時間があると、脳はその制限時間に向かって背水の陣、もう逃げ場はないと覚悟した上で取り組むようになります。

勉強することに対して、脳の機能が集中的に活動を開始するのです。

一夜漬けの勉強が効率的に進むのも、脳が背水の陣であることをはっきり意識し、集中力が高まるからです。

このことを利用し、勉強はかどらないときは、わざと時計をにらんで秒読みをはじめると、自分に気合を入れることができます

休みながら記憶を進める

一夜漬けの勉強では、時間に追われているせいか、一時も無駄にしないようにがんばるものです。

こうしたやり方は、記憶の理論では集中記憶法と呼ばれていますが、実は、がんばっている割にはあまり効率が上がりません。

ぶっ続けでがんばるよりは、ときどき休息を入れてから憶える分散記憶法のほうが、効果的なのです。

これは、ヨストの法則と呼ばれるもので、次のような実験で効果のほどが確かめられています。

ヨストの法則による実験
ある人間に一定の材料を1日10回ずつ3日間にわたって合計30回憶えさせます。
終了後、24日後に同じ材料をふたたび全部憶えなおすのに何日かかるかを調べるのです。
次に、しばらく日時をおいて同じ人に同性質の材料を1日に続けて30回反復学習させて、さらに24日後に、再び憶え直すのにかかる日数を調べてみました。
その結果、前者のほうが能率がよいことがわかりました。
再学習のとき、前者のやり方では後者の半分の時間量で憶えてしまったのです。

一夜漬けではそんなにゆっくりもできませんが、ぶっ続けでやるよりも、少しでも休息をはさむと、忘れにくくなると同時にその後の記憶量が増えるのです。

少しでも眠ったほうが記憶は保持できる

十分に準備のできていない試験の前夜は、わずかの時間も惜しく思われ、眠るのが罪悪であるかのように思えることさえあります。

1ページでも多く憶えておこうと、夜遅くから明け方まで机に向かってがんばり、ついには眠る時間がなくなって、朝食もそこそこに出かけていくようなことになります。

しかし、徹夜は記憶には悪い結果を及ぼします

せっかく憶えたことが、一睡もしないために定着せずに、ボロボロと頭の中からこぼれ落ち、忘れ去られていくことが、心理学の実験によって明らかになっています。

この実験は、ジェンキンスとダレンバックの実験と呼ばれ、次のような結果が出ています。

ジェンキンスとダレンバックの実験結果
学習して、すぐに眠った場合は、2時間までは記憶が減少するが、その後は、減ることはありません。
しかし、眠らずにいた場合は、記憶は減少し続け、8時間経過後でも急激な減少が見られます。
勉強をした後に何も考えずに眠ってしまえば、睡眠に入って最初の2時間は記憶が減少しますが、その後は眠りという厚い壁に守られて記憶が保持され、目覚めたときにも、約80%の記憶が稼動可能な状態なのです。

これには、体制化という眠りが記憶痕跡をある程度整理し定着させる作用があることも寄与しています。

逆に、まったく眠らないと記憶は減り続けていくだけになるのです。

つまり、目覚めていれば、どんなに静かな部屋にいても、外部からさまざまな刺激が五感を通して、眼に入ってきて、これらの刺激に基づく心的な活動が、前に蓄積された記憶を抑えこんでしまうのです。

これを心理学では抑制効果と言われていますが、さまざまの刺激のなかに記憶が埋没して、ついには忘れ去られてしまうのです。

したがって、夜遅くまでの勉強は、その効率をよく考えてしないと、せっかく大量に記憶したのに、まったく憶えていないということになりかねません。

たとえば、10項目を憶えても、一睡もしないために憶えた内容が2項目になってしまうよりは、たとえその半分の時間で5項目しか記憶できなくても、眠ったために4項目だけ保持されていたとしたら、はるかに効率のよい一夜漬けということになります。

まとめ

憶えられる量に小分けして大量に記憶する
・長文読解問題などは段落に区切って解くなど、ある程度の塊に分けて理解を進める
・複雑に入り組んだ内容のものを記憶する場合は箇条書きしてにまとめる
・大量に記憶しなければならないときは、小分けして憶えやすい形にする

全体の流れをつかんでから詳細を憶える
・歴史科目では重要事項を憶えて流れとして頭に入れることから始める
・特に重要なことを明確に憶えるには、赤で大きく書いてみるのも有効な方法である

集中力を高めるための最適な勉強時間
・制限時間があると脳は逃げ場はないと覚悟した上で取り組むので集中力が高まる
・少しでも休息することで忘れにくくなると同時にその後の記憶量が増える
・勉強した後に眠ることで記憶が約80%は目覚め後も保持される

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