サマータイムとは、海外で多く取り入れられていて、毎年3月から11月の間に時計を1時間進める制度です。春から夏や初秋は、晩秋や冬に比べ夕方から暗くなるため、自然光を節約することが目的です。11月から3月までの夏時間のない期間は標準時間です。
しかし、標準時間とサマータイムが切り替わる時期、特に3月頃は、睡眠の質が低下すると言われています。特に3月は、心臓病や気分障害、自動車事故などが増加することが指摘されています。さらに、サマータイムはサーカディアンリズムが自然の光と闇のサイクルと一致しない場合、睡眠障害を引き起こす可能性があります。春の時間帯の変化により不眠症の症状が出る人もいるようです。
- サマータイムは、時計を1時間進める制度。春から秋にかけて光を節約する
- サマータイム移行期には、睡眠不足やリズムのズレが生じやすい
- 標準時間からサマータイムへの移行時、睡眠時間が短くなることがある
- 睡眠衛生を実践し、就寝時間を調整することが大切
- 外で過ごすことや昼寝、カフェインの摂取量にも注意が必要
サマータイムは睡眠にどのような影響を与えるか
ヒトをはじめとする哺乳類は、24時間周期のサーカディアンリズムによって、睡眠や食欲、気分などの重要な身体機能を調節しています。このリズムは、光の照射に大きく依存しています。健康で質の高い睡眠を確保するためには、1日のリズムをリセットするために、自然の明暗のサイクルと同調させる必要があります。
夏時間から標準時への移行期は、朝が暗くなり、夕方の光が多くなります。このため、睡眠と覚醒のサイクルが遅れてしまい、朝は疲れを感じて夕方には覚醒することになります。サーカディアンリズムのズレは睡眠不足の原因となり、また、定期的に十分な睡眠をとらないことの累積効果である睡眠負債の原因にもなり得ます。
標準時間とサマータイムの変更直後に睡眠の変化がある
人間は標準時間からサマータイムに移行する3月上旬に最も睡眠不足になりやすいと言われています。サマータイム変更後の月曜日は、他の日の夜と比較して、平均して40分睡眠時間が短くなることが分かっています。また、11月に夏時間から標準時へ移行する際にも、悪影響があると言われています。睡眠不足に加えて、移行期には、気分障害、自殺、交通事故に巻き込まれる危険性が高くなります。
サマータイムが終了し、標準時が始まる11月には、大きな睡眠障害が起こりにくくなります。実際、夏時間の終了後、1時間余分に睡眠をとることで、よりリフレッシュした気分になることが多いようです。しかし、新しい起床時間に慣れるのが難しいなど、中程度の影響を受ける可能性はあります。
サマータイムへ変更したときの睡眠における注意点
時間変更までの数日間、数週間は、以下のような注意事項を守って、調整への準備をしましょう。
良い睡眠衛生を実践する
睡眠衛生とは、良くも悪くも睡眠に影響を与える習慣のことです。就寝前のアルコール摂取を控えることで、時間の流れをスムーズにすることができます。お酒を飲むと最初は眠くなりますが、アルコールは睡眠を妨げ、睡眠の質を低下させる原因になります。就寝前の重い夕食やスナックも、その夜の睡眠に悪影響を及ぼします。
睡眠習慣を確立する
週末を含め、毎日同じ時間に就寝・起床することは、健康的な睡眠衛生習慣であり、時間の変化に備えることにもなります。夏時間への移行前後は、毎晩7時間以上の睡眠をとるようにしましょう。
就寝時間を徐々に変える
3月上旬に標準時とサマータイムが切り替わる2~3日から、いつもより15~20分早く起きるようにしましょう。そして、サマータイム移行前の土曜日には、さらに15~20分ほど目覚まし時計を遅らせるようにしましょう。起床時間を調整することで、時刻が変わったときに体がスムーズに移行することができます。
外で過ごす
自然光は人間のサーカディアンリズムの原動力であるため、日光を浴びることで、時間の変化に伴う日中の疲労感を緩和することができます。また、日中に外で過ごすことで、夕方に分泌されるメラトニンというホルモンの分泌が抑えられ、疲れを感じて寝る準備をすることができます。
適度な昼寝をする
夏時間の影響で睡眠不足になった人は、日中に短時間の昼寝をすることで、少しは楽になるかもしれません。ただし、昼寝の時間は20分以内とし、20分を超えると目覚めが悪くなります。日曜日の朝に起床時間を調整するのではなく、その日の午後に昼寝をするほうがいいです。
就寝間際にカフェインを摂取しない
就寝前6時間以内にカフェインを摂取すると、睡眠サイクルが乱れると言われています。朝や午後の早い時間に適度な量のカフェインを摂取すれば、睡眠への影響は少なくなります。
まとめ
サマータイムの影響は睡眠に大きな影響を与えます。時計の1時間の変更が、私たちの睡眠リズムや健康に様々な影響をもたらします。特に、夏時間から標準時間への移行時には、睡眠不足や疲労感が生じやすくなります。この変化に対処するためには、睡眠衛生を実践し、睡眠リズムを整えることが重要です。また、外で過ごすことやカフェインの摂取を控えるなどの対策も効果的です。サマータイムの変更期には、自分の体調や睡眠状態に敏感になり、適切なケアを行うことが必要です。
おわりに
本記事では、サマータイムと睡眠の関係について詳しく解説しました。サマータイムの影響で睡眠リズムが乱れることや、夏時間から標準時間への移行時の注意点について学びました。睡眠不足や疲労感が生じた場合は、睡眠衛生を実践して健康な睡眠を確保しましょう。自分の体に合った適切な睡眠環境を整えることで、サマータイムの影響を軽減し、快適な生活を送ることができます。
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